救助工作車Ⅲ型(枚方消防署高度救助隊)
車両概要
車両自体は、シングルキャブ(ハイルーフ仕様)後部キャビン一体型積載庫とし、さらに後部シャッター内を再装備し、積載スペースを最大限確保するとともに、キャビン上部には、災害派遣時の資器材増強を可能とする離脱式大型収納ボックスを設け、リアには津波災害や豪雨災害に対応できるよう、救命ボート船外機の積載プレートも設置しています。また、ウインチも前方、後方ともに電動5t引き単独装備としました。
ハイルーフキャビン内では、BC災害時の防護服や、水難事案時のウエットスーツの着装が行える広大なスペースと、PC等の事務作業を可能とする折り畳み式の事務テーブルを確保しています。
新たな資器材についても多数導入した。通常災害時に使用する資器材以外にも、高度資器材の更新や、特に力を入れたのは大規模震災に対応する破壊器具で、車両積載以外でもダイヤモンドチェーンソー、ビーガン、カット&ブレーク、小型破壊器具等を資器材庫に保管し、緊急消防援助隊派遣時などに素早く積み替えができるよう、災害事案別積載リストを作成しています。また、オゾン除染システム等NBC災害に対応した資器材も充実強化させています。
左側面積載状況
側面前方は2枚扉とし、交通事故対応資器材等使用頻度の高いもの、また重量のあるものを優先的に取り出しやすい配置としました。
側面後方にある水難資器材は、指令がかかればすぐにキャビン内に持ち込み、活動準備等を行う形をとっています。
右側面積載状況
エンジンカッターや2種類のチェンソー等の破壊器具、送排風機、空気ボンベ、ロープ、スリング等を積載しています。
両側面には、上部2箇所(耐荷重300㎏)タイヤハウス2箇所(耐荷重500㎏)のフックを取り付け、側面においても救出時等の支点として利用できるようにしています。
車両上部状況
車両照明横のジュラルミンBOXには、エアライン一式、スーパーソフトランディング等、大型資器材を積載しています。キャビン上部にある離脱式大型収納BOXは、通常時は車高を考慮し、取り外して運用している。
車両照明は今回の車両更新でメタルハライドからLEDに変更しました。
キャビン内後部座席状況(右扉付近から撮影)
シートは跳ね上げタイプ(固定も可能)で、通常災害出動時は着席し呼吸器の車内着装等を行えます。
キャビン内には、活動に支障が出ない程度に、個人装備品と共に先行資器材(コンビツールや熱画像直視装置、ガス検知器、検索ロープ、各種ハーネスやーリー等救出資器材、その他小型破壊器具等)を積載し、空間を最大限活用しています。また、ウエットスーツやレベルA防護服の車内着装訓練等も積み重ね、更新された車両や資器材に合わせた、小隊の活動方法の検討、変更を行っています。
他にも、外部電源がとれるようにインバーターをキャビン内に取り付け、AC100V2口コンセントを3箇所設けており、長距離派遣を見据えた仕様となっています。
諸元性能
乗車定員 5人
総排気量 7,980cc
車両総重量 11,855㎏
全長 7,980mm
全副 2,420mm
全高 3,220mm
高度救助用資器材
画像探査機Ⅰ型、画像探査機Ⅱ型、地中音響探知機、熱画像直視装置、夜間用暗視装置、地震警報器、化学剤検知器
特徴
・内陸型救助・水難救助・山林型救助など、枚方市寝屋川市管内での全ての救助事案に対応する救助資機材を積載
・シングルキャブからの増設ダブルキャビン(半バス型)により後部席の室内空間が広い
・直進型クレーン(小型移動式クレーン)搭載
・前後引きウインチ搭載
・高所照明装置を搭載